彫金工具のお話は旧ブログでも何回かお話しています。
ただ時間も経てば、新しい工具も発売されますし、
考え方も変わります。
そんな彫金工具の最新のお話。
リューターとは先端にいろんな工具を付けられる回転工具です。
何となくどんなものか分かると思います。
歯医者さんでやられるアレですね。
彫金(ジュエリー制作)でもがっつり使う工具です。
主に、金属を削ったり、磨いたりするのに使う道具。
手でやるより、やっぱり早くて楽です。
無くても大概できるけど、あればやっぱり便利。という道具。
リューターの選び方
基本的にリューターを選ぶポイントは3つ
・トルク(力強さ)
・最高回転速
・軸ブレの精度
この3つを見ておけば、まぁ大体大丈夫かと思います。
①トルク
トルクとは力強さの事です。これがあまり弱いと押さえつけた時に止まってしまう。
ただ地金にしょっちゅう穴を空ける(石留めとかですね)でなければ、さほどのパワーは要りません。
ペーパー当てる、磨く、という用途であれば、それほど気にしなくてよい数値。
リングを磨くくらいなら1.5cNm(センチニュートンメートル)もあれば十分だと思います。
地金に穴を空けるなら2.5cNm、ハードに開けるなら4.0cNmほど欲しいですね。
これは本体の性能ではなく、ハンドピースの性能になります。
大体カタログに書いてあります。安いものだと載っていない事が多いですね。
しっかり使っていく場合には表記されているくらいのグレードを選びたいところ。
②最高回転数
その名の通り、最高速度。どんなポイントを使うときでも回転数は大事です。
ではマックスどれくらい欲しいのか?
自分が一番まわしたいときは、最終の磨きの時です。速い方が光りやすい。
自分の使っているリューターは回転数の調整ができますが、最高24000回転に設定しています。
(ちなみに35000回転までいける)
逆に言えばこれ以上の速度は使っていません。この辺は人によって使い方、考え方があるでしょうが。
やっぱり25000もあれば充分かなと。15000位でも何とかなるんじゃない?という感じ。
③軸ブレの精度
これも大事。主にカッター(金属を削るポイント)、ドリルを使うときに大事です。
1.0㎜の穴をドリルで空けるのに、0.1㎜も軸ブレしていたらクタクタですよ。
WAXの切削に使う、なんて時もちょっと気になる部分ですね。
これも逆に言うと、磨き位の使用ならあまり気にしなくていいです。
ただこれだけはカタログスペックに載っていません。
金額で判断するしかないのかな・・・って感じ。
そう…仕方がないってやつですね。
プロが使ってるリューターはこれだ!
あくまでも豊橋にいる一人のプロのお話です。
NAKANISHIのE-max。
最大トルク 4.3cNm(ハンドピースによって変わります)
最高回転数 35000回転
本体、ハンドピース、フットスイッチなどフルセットで確か90000円くらいでした。
現在はE-max”EVOlution”にバージョンアップしていますね。
もう、ど定番のリューターです。
自分はこれを15年くらい使っているのかな?
初めの5年は仕事ではなく自宅で作るのに使ってたので、ボチボチの使用度でしたが、
後半10年は独立してからですので、毎日のハイペース。
それでも故障は一回もないですね。2年ほど前にハンドピースの
チャック固定がバカになってしまいました。
この先端部分だけ新品に交換しました。
確か30000円くらい。ちょっと高いよね。
でも使用頻度を考えればそうでもないかな。
このロックする奴が完全にバカになっちゃった。
色々削ったり何かして、頑張ったけどもう無理。ゆるゆるのガバガバになりましたので交換。
ナカニシのリューターを使っているのは自分だけで、
スタッフM(毎日夕方にバナナ食べる)はこちらのユーロスタイルを使ってます。
ちょっとだけトルクの強いタイプです。
3T ユーロスタイルEM-102L
最大トルク 3.5cNm(ハンドピースによって変わります)
最高回転数 35000回転
本体、ハンドピース、フットスイッチなどフルセットで26180円。
ちなみに教室の生徒さんが自宅に欲しい!と言ったらこれを勧めてます。
3T ユーロスタイルEM-102
最大トルク 2.8cNm(ハンドピースによって変わります)
最高回転数 30000回転
本体、ハンドピース、フットスイッチなどフルセットで21780円。
もっと安い5000~10000円くらいのものもありますが、使ったことがないので、良く分かりません。
おそらく軸ブレの精度が落ちてくるのかなと思います。
トルクや回転数のスペックが載ってれば安心ですが、載っていないものも多いでしょうね。
ちなみにこれを使うには、先端のポイント、先端工具が必要になります。
金属を削るカッター、仕上げに使うペーパーや、研磨剤を付けて磨くポイントなどなど。
これの解説はまたかなりのボリュームになりますので、また別のお話で。
趣味でやりたい場合は?
必須の工具ではありませんが、あればかなり便利な道具。
主に活躍するのは、最終の磨き。やっぱり研磨布とかで手で磨くよりはきれいになる。
あとは切削でしょうか。ヤスリで入らない、やりづらい部分などはこのリューターに頼ります。
上の白いユーロスタイルなら不足を感じることは余程ないでしょう。
金額的にもう少し抑えたいなら、用途に合わせて、トルクや回転数で選ぶことになると思います。
キャスト後にペーパー当てたり、磨くだけ!ならトルク弱くて10000回転くらいでも、結構いけると思います。
それでも作ったリングを販売とかで数もある場合には、もう少しスペック上げた方がストレスないかもですね。
どこで購入すればいいのか問題
ヤスリなどと違ってスペックで選んでも良いので、ネット購入で良いのかな。
ハンドピースの大きさや軽さなど、実物みれば間違いない部分もありますので、彫金工具屋が近くにある方は一回見てみても良いと思います。(お店の場所は「彫金工具のお話~ヤスリ編~」)
しっかり調べれば安いところもあるかもです。
モノタロウなんかでも販売していますね。
どのメーカーを選べばいいのか問題
工具屋さんのオリジナルリューターなんかもあり、調べると意外とたくさん出てきます。
有名なメーカーは上記のナカニシと浦和。
他の所はあまりよく分かりませんが、修理保証は確認しておいた方が安心です。
ちょっと気になっているのがこのBADECO。
実機を試してみたのですが、なかなか良い。というかすごく良い。
(ハンドピースが)軽い、(トルクが)強い、(回転が)早いの3拍子。
お値段だけが可愛くないのですが・・・。
リューターのまとめ
選ぶポイントは3点。トルク-最高回転数-軸ブレ。
結局金額に比例するものなので、趣味で使う場合は、何に使うかよく考えれば、無駄もないと思うよ。
この記事へのコメントはありません。